歌と喉の開き方。声の不思議。

もう何年も歌と言うものに向き合っていますが、喉の使い方がとっても大切だと感じます(当たり前ですが)。お腹のポンプから肺を経由し送られた空気のパワーを喉で形にし、メロディーに乗せるのが「歌」であるんだけど、学校の音楽の先生や声楽の先生はお腹のポンプ部の事を教えることを重視し、喉の使い方に対する指導はあまりないと聞きます。よく言われる「お腹から声を出して!!」と言うやつです。

しかし、実際に振動し声の周波数を制御しているのは「喉」であり、サックスで言うリード部であるわけです。お腹から声が出るわけではなく、あくまでお腹は喉をリラックスさせて安定した息を出す支えであり、喉の開け閉めで声色や響きを作り出しています。「喉を開いてお腹から声を出して!」の方向を目指しすぎると、キレのない太い音になりすぎ、ポップスには合わない声色になることも多く、特に歌の勉強を始めたばかりの人に「素直に歌った方が上手いのに、必要以上にパワフルになっている人」が多い気がします。音量を重視して、音質を犠牲にしたパターンですね。

小難しいことはボイトレの先生に譲るとして、ざっくり言うと「喉の開け閉めの使い方が上手い人は歌が上手いなあ」といつも思います。自分でもなかなか思い通りにならない難敵「喉」。開けるばかりではなく、閉めることも大切。そしてその中間も。

楽器に例えると、全部開けて裏声のような柔らかい響きを出したり(フルート)、締め切ってエッジの効いたトーンを出したり(ハーモニカ)、半分開けて空気を混ぜ、ざらついた音を奏でたり(サックスのサブトーン)いろいろな事が出来るのが「喉」。まるで沢山の楽器を操っているようですね。

この様な沢山の可能性がある「喉」の使い方。どれがあなたの声に合っているのか。歌だけでなく、話し声にも大切な「喉」の使い方を皆さんも意識してみませんか?

ちなみに私は、ポールサイモンやポールマッカートニーの声が大好きです。散々喉の事を書いておいてなんですが、この二人は特に喉の事も意識せず、喋り声の延長でなんとなく歌っている様なナチュラルシンガーな気がします(曲によりますが)。あえて発声法を意識せず、メッセージを伝えようとする歌が、多くの人の心に響く事もあります。そこも含めて「喉の不思議」ですね。

コメント